戸建て住宅をお持ちの方は考えないといけないのが、家のメンテナンスや塗り替え問題
メンテナンスって言われても何をすればいいの?どこをみればいいの?塗り替え時期は?
まかしてください!15年この業界で防水、塗装に関わってきたこのパンダがお答えします!
結論から言いますと、大体10~15年くらいで外壁や屋根は塗り替えたほうがいいです。
しかし、家によってはもっと前にメンテナンスが必要になる部分も!そして、家からの危険サインを見逃すと後々とんでもないお金が必要になることも・・・
今回はそんな戸建て住宅のいろいろなメンテナンスについて解説していきたいと思います。
自分の家がどのタイプか知ろう!
メンテナンスや塗装の話の前に前提として、自分の家がどのようなものでできているか確認してみてください。
大まかに分けると
- 木造、RC造(鉄筋コンクリート)など+モルタル(セメントと砂、水を混合したもの)壁
- 木造+サイディング壁
- ALC壁
- すべて木造または漆喰や土壁使用の古民家
- 磁器タイル張
- 打ちっぱなしコンクリート
などが挙げられます。それではそれらの家屋の特徴を見てみましょう。
モルタル壁の家屋
見た目の特徴は、上に何か塗装してあるのが一般的。木材で土台や柱を組んでその上に防水シートを張ってからモルタル・セメントで壁を作るのが一般的。他に鉄筋が入ったRC造、鉄筋+鉄骨のSRC造など。一昔前ではこちらの家屋がほとんど。
サイディング壁の家屋
サイディング壁の家 施工途中
見た目の特徴は外壁にところどころシーリング材の窪みがある。柄や模様が均一でキレイ。木材で土台や柱を組んでその上に防水シートを張ってサイディングというパネルを張っていくのが一般的。工場でパネルに塗装や柄をつけてくるので見た目が均一で安定。施工が早く、単価も安いので現在ほとんどの家屋がこの手法になりつつある。
ALC壁の家
ALC(高温高圧養生された軽量気泡コンクリート)のことで、工場で作られた高性能な壁のパネルのようなものです。特徴は防音、断熱、軽量、耐久性があり、工場で作られてくるので工期の短縮にも貢献。高性能、高単価。旭化成建材のヘーベルパワーボードが有名。見た目はパネルで施工するので継ぎ目がよくわかる。近年では目地がわかりにくいものや、デザイン性がいい物など多種多様。
すべて木造、漆喰、土壁など・・ログハウスか昔の家
日本の古民家 ログハウス
見た目はそのまんま木材。ただそのままだと腐ってしまうので何らかの防腐処理をするのが一般的。昔は表面に焼き入れした木材を使ったり、防腐剤を塗り込んだりなど。木材の家屋は、通気性、調湿性、香り、温かみ、加工のしやすさ、単価などいい面もいっぱいあるが、防腐防虫処理や定期的なメンテナンスが必須。そしてなるべく雨を受けない構造にするのも大事。
総タイル張・コンクリート打ち放し壁の家屋
磁器タイルの建物 コンクリート打ち放しの建物
タイル張の建物は外壁が多種多様な陶器で作られていて見た目にも、耐久性も高い。美観も汚れにくいので損ないにくい。
コンクリート打ち放し住宅は鉄筋コンクリート造の住宅をむき出しのまま外装内装に使う。美観やデザイン性が良く、うまくメンテナンスすれば木造住宅の何倍もの耐用年数となる。
皆さんの家はどのタイプが近かったでしょうか?もちろんサイディングとモルタル壁併用、ALC壁にタイル貼り付けてるなど複合してる場合もあります。
このタイプ分けをするとメンテナンスの際、家の見るべきポイントが変わってきます。
モルタル壁の家屋の見るべきポイント
クラックがあるか
壁自体がモルタル・セメントなど左官材で作られていると、何か塗装されていないと日光で劣化し、雨風で風化してしまいます。そして、どうしても家屋の揺れ、塗装の塗膜や家屋の経年劣化、地盤の変化によってひび割れが起きてきます。
このひびわれ「クラック」は完全に起きないようにするのはほぼ不可能です。
※家というのはどれもきれいな箱型ではなく、いろんな素材、いろんな形の材料を組み合わせていろいろな形に作ります。その場合何らかの要因で家屋が揺れたときそのひずみがどこかの部位にかかりズレが生じ、壁のクラックや家屋の傾きなどが発生するということなのです。
もちろん最新の材料や技術でなるべく起きないようにはしてるのですが、どうしても一定数発生します。
このクラックは建物の周りの環境(車の交通量、地下鉄、工事現場の近く)などにも依存しますので、早ければ数年ぐらいで発生します。新築で住宅を建てられた場合保証が使える場合がありますので、クラックがひどければ一度購入された工務店、ハウスメーカーなどにご相談ください。ただ、前提として起こりうるものだということで保証の対象外の場合も多々あります。しかし、少しのクラックではなく大きく口があいてるとか、壁が落ちそうとかなら施工不良の可能性もあるのでその場合は必ず相談するようにしましょう。
クラックはできてしまうもの。いかに対処するかが大事!
「クラック」がある場合の緊急性・・・★★★★☆
雨水がかからないのであればそこまで緊急性はないのですが(ずっと放置しててもいいということではありません)、もし雨がかかるようなところにこのクラックができていれば、なるべく早くメンテナンスをおすすめします。
理由としては・・
- 水が侵入し雨漏り、漏電の危険性
- 侵入した水がさらにクラックを押し広げる
- 侵入した水が壁の中にたまり、別の場所の塗膜に膨れやはがれを引き起こす
などなど、クラックが入った場所から壁が劣化していきます。
例えるなら、虫歯の初期症状ですね。放っておくとどんどん進行し、肝心な部分までやられてしまいます。時々壁を見てあげてクラックがないかチェックするようにしてあげてください。
チョーキング現象があるか
次に見るべきは壁の塗装の劣化具合です。古くなった壁をゴシゴシ手でこすると手に壁の色がついたりします。
これを「チョーキング現象」といいます。
壁が汚れていてこうなっているわけではなく、これが起きているということは表面の塗装がだいぶ劣化していることを意味しています。
簡単なイメージ図を用意しました。(注意:簡単なイメージ図になるため実際の塗膜と違う部分があります。)
通常の健全な塗膜の場合、太陽光・紫外線、雨風などから壁を守っています。
しかし、そういった過酷な状況の中長い年月が経つと・・・
この図のように表面の一番強い保護層が摩耗し、その下にある顔料(色の元)を含んだ樹脂層まで露呈し、手などでこするとついてくるということなのです。
後に紹介する保護層が強い塗料ならば、このチョーキング現象がでるまでにだいぶ時間がかかります。(より長く家屋を守ってくれます。)
「チョーキング」がある場合の緊急性・・・★★☆☆☆
ではこの「チョーキング現象」がおきたら、すぐさま塗装する必要があるかと言われたらそうではございません。しかし、塗膜が劣化してきているサインではありますので、そろそろ塗り替えをしないといけないかなっていうぐらいには考えるようにしましょう。
注意:壁をこすった手に少しつくぐらいならまだすぐには塗装は必要ないですが、少しこすっただけでべっとり付くようなら緊急性はあります。
塗り替えの業者さんによってはさも危険な状態のような言い方をするかもしれないので、冷静に状況を確認しましょう!
塗膜のふくれ、剥がれがあるか
次に見るべきポイントは「ふくれ」や「はがれ」があるかどうかです。これは先程のチョーキングやクラックなどの現象がさらに進行した時によく見られます。こちらの図は、クラック、ふくれ、剥がれが連鎖して起こってます。そうなると素地(モルタルや木材など)が表面に出てきてどんどん劣化していきます。
こちらは、トタン(鉄に亜鉛メッキしたもの、屋根や波型のものが有名)
おそらく塗膜の劣化から表面に亀裂が入り、そこに侵入した雨水がさらに塗膜を剥離させて、さらにはメッキを超えて錆びてきているという状態です。
これがさらに進行すると錆で穴だらけになっていきます。
「ふくれ」「はがれ」がある場合の緊急性・・・★★★★★
緊急性は★5です。特に「はがれ」がある場合、素地を守るためになるべく早く塗装を検討してください。素地がむき出しのまま水や日光にさらされると木材は腐りボロボロになり、モルタルはカサカサに風化し、鉄部は錆びてボロボロに。その場合素地からやり直さないといけないので普通に塗装するよりも何倍も費用がかかります。
ふくれ、剥がれは取り返しがつかなくなる前にメンテナンスを!大事な家を守りましょう!
サイディング壁の見るべきポイント
次にサイディングの壁についてですが、その前にサイディングについて少しおさらいしておきますと
このようにおおまかに2種類のサイデイングがあります。細かく言うと他に、厚みが違ったり、表面の加工が高耐候性のものであったり、フッ素であったり様々。デザインもタイル風のものから打ち放しコンクリート風のものやら、レンガ調まで多種多様。近年では外装の約90%近くがサイディングとなっています。
◎表面が塗装されたパネルなので
- クラックがあるか
- チョーキングは起きてないか
- ふくれ、剥がれはないか
の項目も確認しておきましょう!また、これらの状態が著しく悪い場合はなるべく早く専門業者さんに診てもらいましょう。
【重要】サイディングのシーリング材の状態
サイディングはパネルなのでその接合部は何かで埋めないといけません。そこでシーリング材とかコーキング材といったものが使われます。サイディングの壁をずーとみてみるとシーリング材の跡がくっきりわかると思います。
しかしこのシーリング材、耐候性、耐久性がサイディングよりも低いことが多々あり、壁の劣化よりも先にシーリング材だけボロボロになる場合もあります。こうなると本来止めるはずの雨水が壁の中まで侵入してきてしまいます。
シーリングの浮き、ハガレの緊急性・・・★★★★★
こちらの緊急性は文句なしの★5です。サイデイングは木造ならば木材の柱もしくは胴縁(間柱のようなもの)に金物で固定しています。間に透湿防水シートがあるとはいえ、シール材がなくなるとその目地から侵入した水が金物を伝いどんな動きをするかわかりません。さらにはサイディングの裏側、未塗装の部分に水が周りサイディングが劣化し割れたり、反り返ったり、修復不可能な状態になることまで最悪考えられます。チェックする場合は、壁のシール材だけでなく、特にサッシ周りや窓枠も重点的に見てみましょう。こちらのシールが劣化していた場合は雨漏りの原因になることが多々あります。
シーリング材がそれだけ傷んでるということは、サイディングもそこそこ傷んでるはず。チョーキングが出ているかなども確認して、あわせて専門業者さんに一度相談してみましょう。
ALC壁の見るべきポイント
ALCはサイディングの壁と見るべきポイントが似ています。どちらも工場で作られたパネルを現場で設置しシーリング材の処理をします。
ALCは基本、無塗装で現場に来ますので、設置後に塗装して防水処理する必要があります。
クラックの時にも少し書きましたが、建物は地震や自動車の通行及び交通量、地下鉄や工事現場などの要因によって大なり小なり揺れています。その揺れや振動を吸収してくれるのが目地、シーリング材です。
上のイメージ図をごらんください。建物が動いたときシーリング材はゴムのような弾力がありますので伸びたり縮んだりします。その時上の塗膜はゴムのような弾力がないので、動きについていけずにどうしても亀裂が生じてしまいます。(上に塗られている塗料の種類により割れの差は有り)もし新たにALCの採用を考えてる方は是非とも上塗り塗料とシーリング材の相性や耐久性など確認するようにしましょう。ここで安価な塗料を使ったりするのは後々高額な費用を払う羽目になるかもしれません。
シーリングの上の割れの緊急性・・・★★★☆☆
緊急性が★3というのは、サイディングと違いシーリング材自体が割れたり剥がれたりしてるわけではなく、表面の塗装に亀裂が入っただけの状態だからです。しかし、表面の塗装・保護層が傷ついているのは間違いないので、そこから下のシーリング材、周りの塗装を劣化させる恐れはあります。周りの状態を見つつ改修の検討していきましょう。
ALC目地の割れ シーリング目地の補修
ALCは高性能だが・・・
ALCパネルはサイディングパネルよりも小型なので多くのジョイントができます。もちろんすべてのジョイントをシーリング材で充填するのですが、数が多いというのはそれだけリスクもあります。
またALC自体は多孔質ゆえ、水分を吸収しやすく、水分による劣化も進行しやすいです。
もちろんメリットがそれだけあって
- 耐火性
- 防音性
- 断熱性
- 耐久性(メンテナンスすれば50年もつ)
大事なのはこの高性能なALCパネルをいかに水分から守るか?です。
モルタル壁やサイディング壁と同じようにこちらの項目も確認しておきましょう。
- クラックがあるか
- チョーキングは起きてないか
- ふくれ、剥がれはないか
上のような症状があればALC上塗りの塗装が劣化しているサインとなります。こちらもあわせて見てみるようにしましょう。
外壁に木材が使用されている家屋の見るべきポイント
色々な長所がある木材ですが、外壁に使われている場合はメンテナンスが特に重要になってきます。基本的に雨がかかるような場所に木材を使うと白化してスカスカの状態になって、朽ちてしまう可能性が高いです。
こちらは古民家にある縁側です。
木材の表面に焼き入れをして防腐処理をしてる部分が見えます。また雨を受けるような場所は木材が若干白っぽくなってきているのがわかります。
こちらは朽ちてしまった木材。
雨がかかる状態で防腐処理をせずに放置するとこのように木は腐ってしまいます。
上記条件に当てはまる場合は、防腐処理や塗装を検討してもいいかもしれません。一般的な木材ならば防腐処理(防腐防虫塗料塗布)の間隔は3~5年ごと。
※ただし、木材はとても種類が多く、加圧防腐処理(防腐剤に木材をどぶ付けして浸透させる)をされているものや、ハードウッド(防腐、防虫性の高い広葉樹)と呼ばれているものの場合必ずしもこれに該当しません。ものによっては塗装などせずに耐久性が20~30年もつものもあります。
注意:なんとなくでホームセンターの塗料を塗ったりすると後々めくれてきたり効果がなかったりする場合も!
ハードウッドのウリン材や人工樹脂木材はウッドデッキや雨がかかる場所で使われることが多い。自分の家に使われている木材の種類をなるべく確認しよう。(見た目ではわかりにくいので図面や設計図、もしくは専門の業者さんに)
磁器タイル張の家の見るべきポイント
磁器タイルといいましても種類は多いですが、基本的には粘土を成形し釜で焼いて作る陶器のようなものです。大きさや形、焼き入れの方法や、薬剤の塗布(釉薬)で表面の色合いや艶を変えたり様々です。
陶器のようなタイルなので耐久性はバツグン、汚れもつきにくく言うことなし!としたいですが、実はタイル自体は強いのですが弱点が他にあるのです。
タイルは浮き、剥落に注意
住宅の外壁タイルは、モルタルで圧着するか接着剤による接着によるものとあります。見た目ではなかなか見分けがつきにくいですが、樹脂製接着剤工法では接着力が強いので目地を深くとれるようです。
しかし住宅の揺れや気温の変化による接着層や躯体の伸び縮みで、内部に亀裂や剝がれが発生する場合があります。そして厄介なのが見た目は引っ付いてそうでも中で空洞ができていたり、亀裂が入っている事があるというのです。
実際に外壁タイルのマンションからの剥落でケガや重大な事故につながったケースも過去にあります。
そこで平成20年(国土交通省告示第282号)建築基準法第12条に基づく特殊. 建築物の定期報告制度が改正され10年経過時に外壁全面打診が義務化されました。(特殊建築物:平たく言うと人が多く集まる建築物、学校、共同住宅、マンション、工場、百貨店などなど細かな規定は別にあり)人が集まるので剥落した場合に重大な事故につながる恐れがあるのです。
一般戸建て住宅はまだ全面打診義務化に至ってませんが、劣化して剥落すれば周りに危険が及ぶということは覚えておかないといけません。
タイルを採用している家屋は、目で見て亀裂やふくれなど明らかにおかしい部分がある場合は、実際に足場を立てて打診調査をオススメします。屋根の改修の時に一緒にやるのが効率がいいですね。
水の侵入のサイン「エフロレッセンス」
タイル壁の次に見ていただきたいのが「エフロレッセンス」といった症状です。
これはモルタル、コンクリートや石材に含まれる水に溶けやすい水酸化カルシウム(Ca (OH)2)が溶出し、コンクリート表面に運ばれ、乾燥して二酸化炭素(CO2)と反応して炭酸カルシウム(CaCO3)になったものです。
学校で使うライン引きや貝殻の成分と似ていますね。なのでこれ自体はそこまで悪い成分ではなく見た目が悪いといっただけなのですが、気をつけないといけない点がいくつかあります。
- どこから水が侵入したのか?
- 下地の中性化が進み内部の鉄筋を痛めていないか?
- 洗浄はどうするか?
以上のことをがあります。
① まず大事なのが、水が内部のカルシウム成分を表面に出してくるのがエフロなので、何らかの理由で水が内部に侵入しているのが考えられます。大体はエフロの近くにクラック、亀裂、割れなどの症状があることが多いです。タイル壁の場合は目地材が水を吸収しやすいモルタルや目地に何らかの損傷がある場合があります。
② さらに、エフロが発生しているということは内部のコンクリートの中性化が進行していることになります。コンクリートは通常アルカリ性になっており鉄筋が腐食されることはありません。しかし二酸化炭素や水によってコンクリートのアルカリ性値PH値が下がってくる(中性化)と、鉄骨が腐食し、膨張し、その膨張圧によって亀裂が生じ、さらに水や空気の侵入を許して腐食を加速させることとなります。最終的には鉄筋が錆びボロボロになり、強度が下がったり建物自体の劣化につながります。
エフロ自体は見た目だけ!でも周りにクラック、亀裂、剥落の危険性があるのでその部分はしっかりと見てメンテナンスしましょう!
③ 見た目も重要なので洗浄はどうするかも考えていきます。エフロは炭酸カルシウムなのでイメージは貝殻です。結構固い!工具を用いて削り落とすか酸性の液体で溶かすか。酸で溶かすことになると洗浄が甘いと建物自体や周りの植物も傷めたりするので、業者さんとよく検討の上実施するようにしましょう。
コンクリート打ち放し壁の見るべきポイント
意匠性が高いコンクリート打ち放し壁。しかも防火性、耐荷重性もほかの建材に比べて抜群です。しかし、メンテナンスなど何もせずにいるとせっかくの性能も落ちてきてしまいます。新築で採用する場合は定期的なメンテナンスも視野に入れて検討するようにしましょう。
汚れ、雨だれ、撥水剤の劣化
コンクリート打ち放し壁は打設後、ほんとうにそのままほったらかしにすると、水を吸収しやすいので雨風の影響をもろに受け表面はガサガサ、汚れや雨だれだらけになるでしょう。なので、何らかの撥水処理かクリアー塗装処理をするのが推奨されてます。
撥水剤は「水をはじく加工を表面に施したもの」
クリアー塗装は「透明な塗膜でコンクリートを覆ってしまうもの」
撥水剤は車の撥水コートをイメージしていただければわかると思いますが、撥水効果が効いていると、かかった水が玉のようになって流れていきます。しかし効果が切れてくると、水が流れず水たまりができます。打ち放し壁の場合も撥水効果がある場合は、水は玉のようになって流れていきます。そして効果が切れてくると水は壁に染みこみ濡れたような状態になります。
こちらの写真は地下に向かう階段ですが両方の壁はコンクリート打ち放しとなってます。
黒っぽくなってしまっているのは、雨水と一緒に空気中の排ガスや汚れを壁に取り込んでしまっているからです。また日陰ということもあって藻やカビがところどころ見られます。
こうなってしまってはせっかくのコンクリート打ち放しの意匠性が台無しですね。この状態でさらに放っておくと汚れもひどくなり表面もガサガサになって内部の鉄筋も痛み出すとだいぶ補修費がかかることでしょう。
撥水剤は効果はまちまち。3年しか持たない物もあれば20年もつ高級品も。壁が濡れ色(水がしみ込んで変色)になっていたら再塗装を検討しましょう。
クリアー塗装されてる場合は表面が白化してきたらそろそろ塗り替え検討時期。他にクラックやエフロなどがないかもチェックしときましょう。一般的なシリコン系やフッ素系の樹脂クリアーならばだいたい7年~15年くらいで劣化してきます。
塗り替えを検討しよう!
いかがでしたでしょうか?ご自分の家の状態は健康でしたか?
家の外装は虫歯と同じで、放っておいても治ることはありません。むしろ悪化していき取り返しのつかないことになっていきます。しかも目に見えて進行していくものばかりではありません。クラックやシーリングの亀裂などいつの間にかできていて、いつの間にか雨漏りしているケースも。
家のわるいところを直して綺麗に仕上げる塗り替え、治療を検討していきましょう。
最適な塗装時期
自分の家の状態がわかったら次にいつどのように塗装をするか?ですね。
もちろん重大な欠損などがあるのなら、すぐにやらないといけないですが、時期によっては塗装に向かない季節もあります。
◎基本的に塗装する際は「雨、高すぎる気温、低すぎる気温」に注意です。
雨に弱い:塗装中に雨がかかると溶け出して大変なことになる。下地が濡れているとほぼ施工不良になる。
気温が高すぎる:塗料がすぐに固まってしまうため、施工性が悪くなる。見た目が悪くなる場合も。
気温が低すぎる:塗料が何日も硬化しなくなる。塗料自体が凍ってしまい見た目が悪くなる。
以上のことを踏まえると
- 一番いいのは春と秋、雨が少ない時(秋雨前線が出てたりする場合は×)
- 夏もいいけど塗装の種類によってはエアコンが塗装中使えなかったりする。熱中症に注意
- できれば避けたい梅雨の時期、雪の時期
このようになります。もちろん梅雨や雪の時期に工事を依頼することはできますが、通常2週間ぐらいの工事が3週間もしくは4週間に伸びたりします。その間ずっと家は足場に囲まれた状態。慣れた人じゃないと気が滅入ってしまうかもしれません。
もちろん洗濯物も干しにくかったり、干せなかったり・・・面倒なことが多いです。
寒冷地には寒冷地用の塗料も用意されてはいます。しかし、なるべくなら気候の良い時期を選んで塗装しましょう。
最適な業者さん選び
塗装時期を検討したら次は業者さん選びですね。その際に気をつけたいのが値段ばかりにとらわれないということです。塗装業者さんは大手から、町屋の方までいろいろお付き合いさせていただきましたが、ほとんどの方が真摯に仕事に取り組んでらっしゃいます。しかし昨今の価格競争や消費者、建設会社からの値下げ要求でなかなかいい仕事ができにくい世の中になっています。
しかし、値段に関して相手の言い分そのままというのも少し怖いですよね。消費者としてはある程度の知識、値段を頭に入れておくと安心して工事を依頼できます。そこで参考にしていただきたいのがメーカーから発表されております「設計単価表」です。一度検索してみてください。メーカー名を変えればいろいろな材料、工法の単価がわかります。
建築用塗料の中で「材工㎡単価」が載っているものを見つけてあとは、ご自分の家の壁面積が何㎡かで計算してあげれば概算ですが工事代金を出すことができます。
では実際にどのくらいの工事金額がかかるかというと
例:築15年程度、壁面積200㎡のモルタル壁の塗り替え工事
工法:日本ペイント1液水性ラジカル制御形ハイブリッド高耐候性塗料(パーフェクトフィラー+パーフェクトトップ)
工程 | ㎡数 | 施工単価(㎡/円) | 合計金額 |
足場設置 | 250 | 1200円 | 300,000 |
外壁洗浄 | 200 | 300円 | 60,000 |
下地調整(クラック補修、コーキングなど) | 10個所 | 1000円 | 10,000 |
養生費 | 200 | 500円 | 100,000 |
鉄部、塩ビ樋ウレタン塗装 | 1式 | 50,000 | |
パーフェクトフィラー1回塗り+パーフェクトトップ2回塗り | 200 | 3600円 | 720,000 |
廃材処分費、諸経費 | 1式 | 50,000 | 50,000 |
総合計(税別) | 1,290,000 |
このような形で見積もりが出てくるかと思います。工程ごとの単価はその土地土地の環境や建物によって、または施工業者さんの企業努力で増減はあるかと思います。
この仕様でいくと大体130万円前後のお金がかかります。おそらく自分の所で足場を組める技術があって、施工も早くて、いろいろ融通が利く業者さんであっても100万ぐらいはかかるのではないでしょうか。
塗装店さん直接ならもう少し安いかも?!ただ工事代金が200万とか、50万とかは怪しいので工事工程を聞くようにしましょう。
塗り替えの見積もりを取ってみよう!
塗装時期、塗り替えの大体の相場を頭に入れたら次は塗り替えの見積もりを取ってみましょう!
その際はその地域口コミで良い店や、知人ご紹介、インターネット上の塗装店などできれば数件見積もりをとってみるのがいいです。
このような塗り替えは家ごとに症状が違うので、どうしても対処した経験がないと見逃してしまう場合があります。またそれぞれの業者さんでもやり方が違ったりなど。
そして、塗装や防水の種類によっては業者さんから保証制度が受けれたりします。だいたい外壁で3~5年など。やりっぱなしにはならないので少し安心ですね。(保証内容は塗装なら塗膜の剥離と変退色、防水なら防水保証など)
みなさんも重大な病気の時はいろいろなお医者さんの意見聞いたりしますよね?外壁塗装もそれと少し似ています。いろいろな見積もりとやり方のお話を聞いて、信用できそうな業者さんにお願いするようにしましょう。
大事なのは「工程・やり方」を「きちんと説明してくれるか」です。また、いろいろな塗装の提案をしてくれる業者さんもいいかもしれませんね。
主に外壁塗装に重きを置いて解説してきましたが、住宅は他に屋根と防水など重要な個所があります。そちらはまた別の機会に解説していきたいと思います。塗料選定についても!
今回の内容が皆さんの大事な住宅を守る手助けになれば幸いです。それではまた!
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